上の写真は私がお手伝いさせてもらった物件で、デザイン面では携わってはいないのですが光と影が美しく調和していたので写真を撮らせてもらいました。
照明器具はお施主さんが選んで来たらしいのですが、なんとも趣のある美しい照明です。恐らく光の落ち方もイメージ通りなのではないでしょうか。
吉村順三を彷彿とさせますね。
このブログのタイトルにある陰翳礼讃とは谷崎潤一郎による随筆のタイトルで元来の日本家屋における光と影がおりなす美しさを綴ったものです。
しっとりとした落ち着いた雰囲気のある場所というのはだいたい、少し暗めの暖色系の照明を使っているかと思います。
本来「家」というのはくつろぐ場所であるはずなので、そのように設計してもよいとは思うのですが、現実には「家」でくつろぎもすれば作業もし、読み書きもするし、掃除もします。
求められる環境は住む人々によって様々なので、しっかりヒアリングして計画しないとクレームにつながってしまいます。
一般的には玄関は趣きのある雰囲気、リビングはくつろいだり作業したり色々なことをするのでフレキシブルに、寝室は寝るだけなので暗く落ち着きのある雰囲気に、キッチンは調理場などは作業する場所なので明るくダイニングは明るくかつ趣深い感じがよいのかなと思います。
西洋建築の場合ヴェルサイユ宮殿などに見られるように、影を落とさないようとにかく明るくきらびやかです。
一方で日本建築の場合光があれば影もある。光と影は対のもので消してしまうことは難しい、それならばその影をも侘び寂びの心で楽しんでしまおうという思いが感じ取られます。
建築は見るものによって評価の変わるものです。照明においてもどちらが良いというものはないと思いますが、日本の老舗ホテルや旅館などはやはり光と影を意識した設計がされていることが多いように思います。