地盤調査 SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)

建物を建てる前に必ず必要かつ重要なのが地盤調査です。

地盤がどのような状態であるのかを調べ、ベタ基礎のみで大丈夫なのか、もしくは地盤改良や杭が必要なのかを判断します。

いくら上部構造が丈夫であっても軟弱な地盤やゆるい砂上の地盤では液状化を引き起こし、地震で傾いたり、そうでなくとも経年の接地圧で同様に傾いたりしてしまいます。

そういった意味で建築前の地盤調査はとても重要になってきます。

戸建て住宅や小規模建築物に使われる最も一般的な地盤調査の方法がSWS試験(スクリューウェイト貫入試験)です。

あまり聞き覚えのない試験方法だと思った方もいるかと思いますが、いわゆるスウェーデン式サウンディング試験のことです。

以前まではスウェーデン式と呼ばれていましたが、国際規格との照らし合わせや、日本独自に進化した部分もあるので2020年にJISが改正されスクリューウェイト貫入試験と変更されたようです。

実際の作業はさほど時間はかからず、規模や土地の状況によって変わりますがおおよそ半日程度で、費用の方も3万円前後でリーズナブルです。もし必要な方がいらっしゃれば手配いたしますのでお問い合わせ下さい。

SWS試験の様子

上の写真は鉄骨2階建ての事務所の建築予定地の調査風景です。更地で障害物もない場所なので二時間弱で5箇所のポイント全てを取ることが出来ました。砂・礫・粘土で地耐力もそこそこ期待できそうです。

陰翳礼讃-照明計画

上の写真は私がお手伝いさせてもらった物件で、デザイン面では携わってはいないのですが光と影が美しく調和していたので写真を撮らせてもらいました。

照明器具はお施主さんが選んで来たらしいのですが、なんとも趣のある美しい照明です。恐らく光の落ち方もイメージ通りなのではないでしょうか。

吉村順三を彷彿とさせますね。

このブログのタイトルにある陰翳礼讃とは谷崎潤一郎による随筆のタイトルで元来の日本家屋における光と影がおりなす美しさを綴ったものです。

しっとりとした落ち着いた雰囲気のある場所というのはだいたい、少し暗めの暖色系の照明を使っているかと思います。

本来「家」というのはくつろぐ場所であるはずなので、そのように設計してもよいとは思うのですが、現実には「家」でくつろぎもすれば作業もし、読み書きもするし、掃除もします。

求められる環境は住む人々によって様々なので、しっかりヒアリングして計画しないとクレームにつながってしまいます。

一般的には玄関は趣きのある雰囲気、リビングはくつろいだり作業したり色々なことをするのでフレキシブルに、寝室は寝るだけなので暗く落ち着きのある雰囲気に、キッチンは調理場などは作業する場所なので明るくダイニングは明るくかつ趣深い感じがよいのかなと思います。

西洋建築の場合ヴェルサイユ宮殿などに見られるように、影を落とさないようとにかく明るくきらびやかです。

一方で日本建築の場合光があれば影もある。光と影は対のもので消してしまうことは難しい、それならばその影をも侘び寂びの心で楽しんでしまおうという思いが感じ取られます。

建築は見るものによって評価の変わるものです。照明においてもどちらが良いというものはないと思いますが、日本の老舗ホテルや旅館などはやはり光と影を意識した設計がされていることが多いように思います。

建材高騰の今こそ設計事務所をご活用下さい

世間では値上げラッシュがおこっていますが、建築業界でも建材や設備機器など同様に値上げラッシュとなっています。

丸太価格
製材価格
今日現在の先物チャート

ウッドショックと言われるように木材の価格が膨れ上がっています。

上のチャートからもわかるように先物取引に関しては今現在過去最高値で、2021年の夏頃から比べると2.5倍ほどの価格になっています。

その他建材もほとんどのものが値上がりしています。一例を箇条書きで上げてみますと

・合板・・・昨年11月から10%程度の値上げ

・石膏ボード・・・昨年11月から30%値上げ

・外壁(国内大手各社)・・・昨年8月から17%の値上げ

・塗料(シンナー、溶剤、運賃など各々が)・・・10~20%程度の値上げ

・住宅設備(ユニットバスやトイレキッチンなど)・・・22年4月から2~39%の値上げ

・窓サッシ・・・22年4月から10~12%の値上げ

・コンクリート・・・22年1月より1トンあたり2000円程度の値上げ

鋼材価格

また上記のグラフからもわかるように鋼材も高騰しています。2008年の北京五輪の鋼材高騰に迫る勢いです。鋼材の値上げは基礎に使う鉄筋や金属系の屋根や外壁にも当然影響を及ぼします。

これだけのものが値上がりしているので、住宅一棟ではかなり影響があることでしょう。

ここで重要なのはこの値上がりが恒久的なのか一時的であるのかということだと思います。

私は今の様々な建材の価格が妥当であるとは思いませんが、元の価格にも戻らないのではないかと思っています。

時事ニュース切り抜き

様々な値上げで大変ではありますが、上の記事のように少し気になるニュースもあります。

大手鋼材メーカーが鋼材価格の値上げにより過去最高益だということです。

これは値上げせざるを得ない状況から、蓋を開けてみると結果的にそうなってしまっただけかもしれませんが、末端で苦しんでいるユーザーからすれば不満も募るでしょう。

このようなことが他の木材、住宅設備でも起こっていないか不安になってしまいます。我々には値上げを強いておいて自分たちだけは利益を貪るようなことはやめて頂きたいですね。

前置きが長くなってしまいましたが、このように不安定な現状であるので今後どのように推移するのか少し様子を見たいというのが、当然の心情だと思います。

そこで設計にかかる費用であれば値上げもないので、その間にじっくり時間をかけてプランを練り上げてみては如何でしょうか?

設計にかかる時間はお客様によって変わりますが、最低でも基本設計と実施設計をあわせて3ヶ月はかかります。当事務所では平均すると6ヶ月程度ぐらいが多いかと思います。

また、設計に3ヶ月かけようが12ヶ月かけようが頂く設計料金に変わりはありません。当然設計期間が長くなれば事務所の利益は目減りしますが、仕事の性質上しかたがありません。

ご相談や簡単なプランのご提案であれば費用はかかりませんので、是非今の時期に当事務所をご活用頂ければ幸いです。

フラット屋根(陸屋根)なミニマル住宅

ファサード

全て既製品を使った平屋の住宅です。

写真左側に見える美しい母屋と視覚的にどのように繋ぐかが課題でしたが、離れである本計画の平屋が主張しすぎないように調和する方向で設計しました。

これは私の指示ではなく現場の判断なのですが、土間コンクリートの割付がなかなかオシャレです。勉強になりました。

屋根伏図

また前面道路から見ると一見フラット屋根(陸屋根)にしか見えませんが、実際は緩勾配の寄棟になっています。

軒先

分厚い軒先やケラバはあまり格好がよくないので、少しでも薄くシャープに見せるため垂木を加工しています。

コーナー役物

外壁は一度使って見たかったケイミューのSOLIDOという商品を使わせてもらいました。既製品の外壁出隅のコーナー役物はだいたい幅広でかっこ悪いのですが、こちらの商品は私が普段使うようなアルミアングルを加工したようなシャープな役物で個人的にはとても気に入っています。

私の設計では意外に既製品を使用することが多いのですが、この度は内外ともに全て既製品を使用して設計しました。

既製品を使用して建築家っぽさが出せるかどうかが鍵でしたが、近年の既製品にはデザインや性能がよいものも多いので使い方次第でなんとかなりそうです。

結果的に施工に必要な時間、金額ともに圧縮できたのではないかと思います。

一棟で別棟な二世帯住宅

これは随分まえに計画したボツ案件ですが、

なかなかおもしろいのでここで紹介したいと思います。

正面左側の黒と木製の壁の部分が2階建ての子世帯で、

正面右側の白い壁の部分が平屋の親世帯となっています。

正面真ん中の格子は大型の引き戸となっており、

広い中庭があります。その中庭を隔てて親世帯と子世帯が

向かい合っています。

建物の構造上は一棟ですが、機能的には全ての機能を分離した

別棟のような形式となっており、それぞれのプライバシーに

配慮した設計としています。

二世帯住宅の一番のメリットは一部分を共有させ、各々別棟として

建てるよりもコスト的に有利であるところだと思いますが、

どこまでを共有させるのかが一番のキーポイントとなります。

当然共有させる部分が多いほどコスト的には有利ですが、お互いの

世帯への気遣いも増して行くことでしょう。

私個人の考えですが、やはり玄関、風呂、トイレ、キッチンあたりは

それぞれにあったほうが良いのではないかと思います。

そのためには別棟に近い形をとる、もしくは階で区分するなどがよいの

ではないでしょうか。

当事務所兼住宅は階で区分された二世帯住宅という形式をとっています。

二世帯住宅をお考えの方も是非見学、もしくはご相談等頂ければと思います。

天井の高いフラット屋根の平屋

南側立面図

計画中というか保留中の物件ですが、個人的に好きな建物なので

ここで紹介したいと思います。

建築概要

・建築用途:専用住宅

・構造:木造在来構法

・階数:地上1階建

・建築面積:109.031平方メートル

・延床面積:99.094平方メートル

・最高高さ:5.3m

といった内容で平屋フラット屋根の建物になっています。

リビングの天井高は4.1mと高く、部分的にロフトを設置しています。

通風、採光、生活動線にも配慮した。使い勝手のよいプランニングに

なっています。

東側立面図

生活動線だけで考えれば出来るだけ階の移動が少ないほうがストレ

スが少ないのですが、単純な平屋では少し面白みにかけるので、

平屋+ロフトは理想的な造りだと考えています。

土地に余裕があれば是非平屋+ロフトの建物も検討してみて下さい。

ただし同じ床面積で考えた場合、2階建てと比べるとコスト的に割高

になってしまうのが短所ではあります。

建築模型

chaise longue 02 建築模型1/50 その1

設計事務所に入ってまず初めにやるのが模型造りというのが多いのではないでしょうか。自分も概ねそうでした。

この模型造り意外に手間であまり得意ではありませんでした。住宅であれば1/50ぐらい、大型物件であれば様々で規模に合わせて1/100~1/500ぐらいで造ることが多いです。

chaise longue 02 建築模型1/50 その2

ただ最近では3DCADが少しずつ普及してきて、模型作りの必要性も少し薄れつつあるかもしれません。

chaise longue 02 3DCGパース

そもそも模型はボリューム(立体的な大きさや形など)を確認する目的で造っているので、それがパソコンやタブレットなどで確認することができればあえて手間暇をかけて造る必要がありません。それでも実際に物理的な形を造ることはやはり有益なことも多いとは思いますが・・・。

chaise longue 02 竣工写真

自分の場合も最近ではほとんど模型は造っていません。3DCADは導入していませんが、パースを起こす時に3Dでモデリングするので、そこで確認していますしパースを描く一番の理由がやはり全体的なボリュームの確認や収まり(図面との整合性の確認)のためです。

chaise longue 023DCGパース 夜景東側

chaise longue02は東側の立面がきれいなのですが、両隣に建物があり実際には撮影ができませんでした。ドローン撮影ができればよかったのですが、1枚の写真のためにドローン撮影を依頼するのもなんだかもったいないので、とりあえずCGパースだけでも置いておきます。

アゼルバイジャンの建築

wikiより拝借

CMでも見たことある人がいると思うが、あのザハ・ハディドの設計による建築物ヘイダル・アリエフ・センターだ。

すごい曲線ですね。自分のように直線的な設計しか出来ない人間にとっては圧倒的です。いつも思うが曲線を使って美しいデザインをするのは本当に難しい。しかもこのような不規則な複雑怪奇な曲線で美しく見せることが出来るとは。

ところでアゼルバイジャンってどこ?ってなると思うがカスピ海の西側に位置するこの場所です。旧ソ連解体後1991年に独立国となったようです。

wikiより拝借。アゼルバイジャンのペンギン3匹

上はアゼルバイジャンのペンギンことフレイムタワー。設計はHOKでアメリカの組織設計事務所。世界で4番目の規模の事務所だそうだ。

アゼルバイジャンは火の国と言われるそうで上のフレイムタワーもその名の通り火をイメージしているのだろうが、自分にはペンギンにしか見えない。ホテルや住戸オフィスなどが入る複合施設だそうだ。

他にもアゼルバイジャンには素晴らしい建築物がたくさんあるようだが、現在では第二のドバイと言われるような土地柄で、その裏にはやはりバクー油田という豊富な地下資源がありバブルの様相を呈しているようにも見える。

モダンな建物

wikiより拝借 フランク・ロイド・ライト 落水荘

モダン。直訳すると現代的とかそういう意味だが、建築でいうモダニズム建築は少し意味合いが違う。

これは建築様式の一つでゴシック建築とかバロック建築とかルネサンス建築などの様々な建築様式の一つとしてモダニズム建築がある。

モダン=現代的、近代的という意味だけあって現在最も新しい建築様式の一つだ。新しいとはいえその建築様式が確立されたのは100年以上も前で、メジャーな建築物は1950年前後が多い。家具やインテリアでよく耳にするミッドセンチュリーと時代はほぼ同じ頃だ。

これは当然でこの当時の著名な建築家が家具やインテリアもデザインしていることが多くその流れを汲んで大筋ではそのようになっている。

wikiより拝借 何かと話題のパリのノートルダム大聖堂

モダンな建物の歴史は簡単にまとめるとこのような感じで、本題のモダン建築とはなにかというと、上のパリのノートルダム大聖堂を見てもわかるようにフランク・ロイド・ライトの落水荘とは全く違う。

モダニズム建築は基本的には装飾を排し合理的であったり機能的、見た目には直線的で立方体に近いものが多い。無駄を省いているのでモダンな建物はそれ以前の建築様式より経済的でもあるだろう。

ただしそれを現在の日本の戸建て事情に当てはめると必ずしも合理的・機能的・経済的とは言えない部分もあるのでそこは注意が必要ではないかと思う。

それでも自分はほんの少し和のテイストを取り入れた、和モダンもどきのような建物が結構好きで実際そんな感じの建物の設計が多くなっている。

wikiより拝借 ミース・ファン・デル・ローエ バルセロナ・パビリオン

上のミースのバルセロナ・パビリオンは今から90年ほど前の建物だが、個人的には全く古さを感じない。優れたデザインはどんなものであれ不朽であると信じている。

雨宿りするスズメ

木陰で雨宿りするスズメ

突然の大雨に慌てたのか裏庭のソメイヨシノでたくさんのスズメ達が雨宿りをしていた。ここは眉山に近いためか、あまり見慣れない動物達がたまに見られる。

写真がないのがざんねんだが、トマコ(イタチ)やハクビシン、夜にはフクロウも庭に訪れたことがある。

南側、東側中央部にちょっとした庭を設けている。

庭の手入れは面倒だが、少しとはいえ緑があることで四季折々の表情が見られ、たくさんの動物達も現れる。密集地や分譲地などで大きな庭は難しいかもしれないが、気持ち程度でも庭木がある方が自分は好きだ。

すでにびしょ濡れのスズメ

中にはびしょ濡れになっているスズメもいた。こんな状態でも飛べるのだろうか?